おくすりぽりぽり

国試や受験、薬や病気etc...一方的に発信するブログ。

調剤の流れ(処方箋受付からお会計)

こんにちはねず実 (@8kMO2aHAP0g6Tpd) です。

気づけば春ですね🌸

ねず実が新卒で入社した薬局では、マナー研修だけ受けたら調剤や投薬、薬歴記載は研修が無く自力でぶっつけ本番でした。

 

先輩薬剤師にも「実習でやったよね?」ということでなかなか教わることができず、手探りで覚えていったためわりと苦労しました。

患者さんにとってもかなり迷惑だったと思います。

実際「なんで新人に薬渡されなきゃならねんだよ!」と怒る人も多かったです。

 

なので似たような環境の方の苦労が少しでも減るように、この記事では調剤の流れを簡単にまとめて紹介します。

  • 無事に国家試験を通過しこの春から新たに薬剤師として働き始める方
  • 調剤未経験だけど心機一転転職し、調剤に挑戦することになった方

の予習として少しでもお役に立てれば幸いです。

 処方箋受付~入力

処方箋には確認ポイントがある

まず処方箋の基本です。

こちらは東京保険医協会のサイトにある処方箋の様式見本です。↓

東京保険医協会:保険医の生活と権利を守り、国民の健康と医療の向上をめざす医師の団体 | 東京保険医協会

 病院によって多少異なりますが、見るべきポイントは同じになります。

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処方箋の画像に見るべきポイントに番号を振りました。

処方箋受付時に見るところ、レセコン入力時に確認することを順番に見ていきましょう。

①保険番号、公費

保険番号

できれば月に1回は保険証の確認をしましょう。

保険証が変わったのに処方箋に古い番号が記載されたままなのはよくあるので注意を。

また保険証によっては期限があるので保険証の期限についても確認が必要です。

(病院で見せたから薬局で見せる必要はないと拒否する人も少なくないですが、その場合そのまま調剤するか確認できるまで調剤しないかは薬局によって対応が違うので管理者に確認を。)

公費

次は公費です。

保険証とは別に公費の受給者証があり、公費番号は普通そちらに記載されています。

自立支援医療(21公費)など一部の公費は、受給者証に指定医療機関(病院や薬局)が記載されています。

これは「この病院で治療を受けて、この薬局で薬をもらいたい」と予め申請して記載されるものです。

もし指定医療機関に指定されていないのに処方箋を受け付けると、公費適用にならず通常の保険負担割合でお会計をします。

なので「どうしてもここの薬局で薬をもらいたいけど公費は使いたい」と言われたら、

まず薬局を指定医療機関として登録してもらってからの調剤になります。

指定医療機関の項目がなければどこの薬局でも受け付けられます。

登録してないけど公費を使いたいとごねる人もいるので注意を。

 

公費によっては毎月の自己負担額が決まっています。

例えば受給者証に限度額5000円とあれば5000円までは自分でお会計をし、

5000円を超えると公費負担になるのでお会計はなしになります。

受給者証に支払いの累積額記入欄があると思うので確認を。

②患者氏名、生年月日など

初回来局の患者さんは特に注意しましょう。

病院での入力間違いにより保険証と処方箋の情報が一致しない方がたまにいます。

また、同姓同名の患者さんが来た時に生年月日を確認しないと調剤ミスにもつながります。(同姓同名の人の処方箋を同時受付して混乱したことあり)

③処方元の情報

 一番気にするところは保険医氏名の最後に「押印または署名」があるか。

これは「確かにこの内容で私が処方した」ということの証明です。

ここの押印・署名忘れはよくありますが、必ず「確かに○○医師が発行した処方箋で間違いないか」疑義照会が必要です。

④処方箋の期限

知っての通り処方箋の期限は土日祝含めて4日間です。

けど期限切れ処方箋を持ってくる人はかなりいます。

期限切れ処方箋について薬局から病院へ疑義照会を行うのはアウトです!

「この薬はすぐ必要なんだ!」とごねる人もいますが

必ず患者さん本人から病院へ連絡を入れてもらい、期限延長なのか再受診なのか病院の判断に任せましょう。

ただし、処方箋の使用期間の項目に記載がある場合は4日を超えても使用できます。

今は新コロの影響なのか、処方箋の期限が予め長く設定してある処方箋が増えましたね。

⑤処方内容

薬には先発品や後発品(ジェネリック医薬品)があります。

一般名処方と言って成分名(例:[般]ロキソプロフェンナトリウム水和物錠60mg)で処方されている場合は、先発でも後発でもどのメーカーで調剤しても問題ありません。

しかし、変更不可欄に×や✓といった印がついている場合は指定されたメーカーでの調剤しかできないので在庫がないことがあります。

⑤の下にある保険医署名欄に押印や署名がなければ、変更不可に印があっても変更できることがあるので確認してみてください。

⑥残薬調整時の対応

処方箋と一緒に残薬を持ってくる患者さんがいますが、この項目のどちらに✓が入っているかで薬局の対応は異なります。

「疑義照会したうえで調剤」であれば、医師に残薬数について伝えた上で調整しても良いか確認する必要があります。

「保険医療機関へ情報提供」であれば、残薬調整は事後報告で良いことになります。

薬局で残薬調整した後、どのように調整したかFAXまたは電話で病院に伝えます。

どちらにも✓がない場合は疑義照会をすれば間違いないでしょう。

調剤

入力について詳しく語るとかなり長引くので割愛。

処方箋の内容が正しく入力されているか確認し、間違いなければそのまま調剤。

ねず実の職場の場合は入力後に出力される「調剤録」で入力内容の確認を行っています。

ピッキング

錠剤を必要数とる作業。

今は事務さんがやっても良いことになりましたが、薬剤師がちゃんとフォローすること前提。

「ただ薬を取るだけでしょ?」って思う人は多いですが、1シートの数が薬によって違ったり(10錠だったり6錠だったり)、

「10錠×3集めたぞ!」と思っても実はそのうち1シートは誰かがカットして8錠になってたり色々あります。

ぼーっとしてると大変なことになります。

ねず実の今の職場はバーコード読み取り機があるので調剤ミスが減りましたが、前の職場は処方箋を見ながらピッキングだったので普通錠とOD錠、規格違い、類似名などの取り違えがありました。

気を付けてね。

散剤、水剤の調製

お子様の風邪の時期は大変。

錠剤より時間がかかる。

子供の体重や年齢に見合わない量が処方されている時はちゃんと疑義照会をしよう。

慣れると処方箋を見るだけで「3歳にこの量はおかしい」と気づけますが、原則添付文書など確認。

ねず実は小児薬用量の本が調べやすいので重宝しています。

↓年齢や体重に合った薬の量が表になっていて見やすいです。

 外用剤の調製

液剤の外用剤もあるが今回は軟膏・クリーム剤について。

練る。

ひたすら練る。

医師が混合指示を出していても、混合することで薬効を失う組み合わせがあるので始めてみる組み合わせの時は必ず調べるようにしている。

片方を先発品や後発品に変えることで配合変化を避けることができるケースもある。

外用剤の配合変化についての本はどこの調剤室にも置いてあるはず。

ちなみに医師によっては、何かしらの理由で配合変化があってもそのまま処方して欲しいと指示されることもある。

↓おすすめのハンドブック

 一包化

錠剤をシートから出し、1回で飲む薬を一つずつ袋にまとめる。

自分で薬をシートから出せない人や、飲む錠数が多く薬を管理するのが大変な人が利用する。

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デパケン錠やセレニカR錠などの湿気に弱い錠剤は一包化すると悲惨なことになる。

初めてみる薬は一包化できるか確認してからとりだそう。

粉砕

乳児や嚥下困難患者など錠剤の粉砕が必要なケースもあります。

粉薬があれば変更してもらうこともあります。

湿気に弱かったり、コーティングをとると光に弱くなる薬があるので

粉砕前に粉砕できる薬か、粉砕後は遮光・乾燥剤が必要か調べておきましょう。

粉砕した状態で保存はNGだが、服用直前の粉砕はOKという薬もあります。

監査

基本的に調剤した薬剤師とは別の薬剤師が行います。

主に見るのは以下の点

・ピッキングされた錠数は正確か

・成分・規格・剤型などは間違いないか、

・粉薬は偏りがなく異物の混入がないか、

・液剤は不純物が無く量が正確か、

・軟膏・クリームはちゃんと混ざっているか

これをクリアしたらいよいよ患者さんの元にお薬が届きます。

投薬・服薬指導

投薬前に

患者さんの元へ行く前に処方内容の確認を行いましょう。

お薬手帳と薬歴を使って前回の処方内容との違いを確認します。

前回の薬歴に「次回~について確認」などの記載があれば確認が必要です。

お薬手帳で他院、他薬局でもらっている薬があればメモっておく。(この時併用禁忌が見つかる可能性もある)

投薬・服薬指導~お会計

前回との変更点があれば伝える。

変更について患者本人、または家族が把握しているか確認。

処方内容に変更がなくても体調変化が無いか確認。(「夏は血圧が下がりやすいが、めまいや、気分の悪さなどはないか」など)

追加の薬があれば薬効や可能性のある副作用についてわかりやすく説明。

薬や体調について聞いておきたいことはあるか確認。

 

悲しいかな薬剤師に色々きかれるのが嫌!はやく会計しろ!と言う人はとても多いです。

最初っからお金叩きつけてくるような人には、会計しながら簡潔に聞くと答えてくれることがあります。

もちろんお会計はゆっくりとね。

おわり

今回は薬剤師業務の大まかな流れをまとめました。

あくまでもねず実の薬局の場合なので、薬局それぞれルールや流れは異なりますが

薬剤師業務について全くわからないという方の参考に少しでもなればうれしいです。

 

皆さまが薬剤師という職業で辛い思いをなるべくしないことを願ってます。🐀