こんにちはねず実です。
今回は本の紹介。
題名は「大地」。
小説「大地」について
今回紹介する本はパール・S・バック著「大地」
清朝末期から始まり、阿片戦争、革命と変わっていく中国の姿をある一族3代と共に描いた物語です。
本来は「大地」、「息子たち」、「分裂せる家」の三部作であるが、ねず実が持っていた本はこの三部作が「大地1~4」という形で4冊セットになっていました。
著者は中国で育ったアメリカ人であり、この小説でノーベル文学賞を受賞しています。
彼女は名言をいくつも遺しており、個人的に一番好きな言葉は
不可能なことがはっきりしない限り、どんなことでも可能なのです。
そして不可能であるとはっきりしている場合も、
現段階で不可能であるに過ぎません。
~パール・S・バック(1892〜1973)~
この本を読んだのは中学生の時でした。
当時ライトノベルにはまっていてクラシカルな小説は読むのをセーブしていたのですが、
母にすすめられて読んだら面白くて読むのがやめられず、
あっという間に4冊全部読んでしまったのを覚えています。
本はもう手元にないのでうろ覚えで紹介。
三部作すべて素晴らしいのですが、自分の中で衝撃的な場面が最も多かったのは第一部です。
三部作すべて紹介するとかなり長くなりそうなので、
今回は個人的に三部作の中で最も鮮烈な内容だった第一部について紹介。
10年以上たっても忘れられない場面がいくつもある素晴らしい小説です。
うろ覚えなネタバレ
テキトーなあらすじ
清朝末期から物語は始まります。
第一部の主人公は田舎のある貧しい農家の男。
主人公はド貧乏であるが嫁が欲しいということで、地主(お金持ち描写が独特だった)の屋敷で働いている奴隷の女を嫁にもらった。
嫁は無欲な働き者で、主人公も嫁に支えられながら頑張ります。
自然災害や強盗に襲われたり色々な困難がありますが一家はへこたれずお金持ちになっていきます。
この嫁は凄い
小説の中で何度も何度も念押しのように書かれるのが、この主人公の嫁が「美人ではないが嫁として素晴らしい女性」ということ。
出産したらすぐにバリバリ働く描写とか今なら問題視されてしまうであろう。
この主人公はこの嫁の支えでお金持ちへのし上がっていくのだが、お金を手にすると愛人にハマるようになり嫁の扱いが雑になっていく。
なのでこの嫁が「美人ではないが嫁として素晴らしい女性」という描写がかなり皮肉に感じられもやもやさせられた。
しかし愛人と遊びながら健気な嫁の姿をチラチラ思い浮かべたり、
嫁が亡くなった後も嫁のことをしょっちゅう思い出したりするので主人公の中にも嫁への思いは多少あったのかもしれない。
死ぬまで愛人と過ごしながら、最期は嫁のことを思い出しながら逝くところは今でも思い出すと物悲しくてうるっと来ます。
この場面が忘れられず、家族は生きている間に大事にするということが自分の中で深く刻まれました。
衝撃的!薬物ダメ、ゼッタイ
一番衝撃的だった描写は、主人公に奴隷(嫁)を紹介した大金持ちの地主が、主人公一家がお金持ちになるのと対照に落ちぶれていくところ。
落ちぶれた地主のシーンの中でも際立って怖かったのが、まともだったころは威厳に満ち溢れた人として描かれていた地主が
阿片をスパスパ吸ってでろーんって肉の塊みたいになっちゃってるところ。
清朝は薬物で滅びたといっても過言ではないと思っています。
元お金持ちはもはや阿片の奴隷となり土地を手放してしまっていました。
題名に「大地」とある通り、この小説では「土地(大地)」がすごく重要視されています。
土地は住むにも必要だし働く場所でもある、またその人の権力の象徴でもあります。
そんな大事な土地を阿片でアッパラパーになった人たちはホイホイ手放していきます。
対照的に主人公は土地を買い集めて豊かになっていきます。
題名回収、大地は不変の存在
主人公は「土地」をかなり大事にしていて、なかなかな執着度であった記憶があります。
主人公にとっては、周囲の人々や世間は変わってしまっても大地は変わらずそこにある存在なんですね。
しかしラストで皮肉にも主人公の土地は身内の手によって変わっていきます。
主人公と嫁の間には3人の息子がいます。
第一部は主人公の死で終わりますが、主人公が亡くなるとき3人の息子が父の遺す土地を売る話をしていました。
主人公がこれは変わらぬと思っていた土地も、最後の最後でちぎられていくのでした。
実際の文章で見て欲しい
如何でしたか。
今回の記事はあくまでもうろ覚えなので、記憶に強く残った部分を強調した説明となっています。
途中の阿片が蔓延していく描写や強盗に襲われるシーンなどは文字とは思えないくらい迫力があります。
今回は第一部のみですが、第二部、第三部と変わりゆく国の姿と時代に翻弄される庶民の姿の描写が素晴らしいです。
ぜひ最後まで読んでみてください。