おくすりぽりぽり

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芳香族化合物の反応性

ねず実です。

芳香族化合物の反応性について過去の自分のノートをまとめました。

勉強の参考にどうぞ。

 

 

 

芳香族とは

芳香族の定義

①環を構成するすべての原子がsp2混成軌道をとり、環全体が平面構造を取る

②非局在化したπ電子を(4n+2)もつ。(n=0,1,2・・・)

 

芳香族化合物は(4n+2)個のπ電子が環構造上を非局在化(共鳴)することで安定している(Hückel則、ヒュッケル則)。

条件を満たせばよいのでイオン性の芳香族化合物も存在する。

芳香族化合物は共鳴により平面構造を持つが、共役ポリエン(二重結合が複数ある)でないものも存在する。

芳香族化合物の例

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基本の考え方

一般式:求電子置換反応

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各反応の試薬、発生するイオン

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 反応性、配向性

芳香族求電子置換反応の

反応性⇒置換基の誘起効果と共鳴効果の和で決まる

配向性⇒共鳴効果のみで決まる

 

置換基が ①電子供与基 → オルト・パラ配向性 反応性はベンゼンより高い

     ②ハロゲン → オルト・パラ配向性 反応性はベンゼンより低い

     ③不飽和結合、正電荷 → メタ配向性 反応性はベンゼンより低い

 

②、③は電子求引基。

捕捉:電子供与基とは非共有電子対(ローンペア)をもつものとアルキル基のこと。

 

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芳香族求核置換反応

 ベンゼン環はπ電子が豊富なので、ニトロ化、スルホン化、ハロゲン化ジアゾカップリグ反応などの芳香族求電子置換反応が簡単に進行する。

 

反対に、ハロゲンを脱離基とした芳香族求核置換反応は、ニトロ基などの電子求引基が複数個存在しないと、つまり電子密度減少させないと進行しにくい。

 

+α:マイゼンハイマー錯体

電子求引基を持つ芳香環に求核剤が 1:1 の比で付加して生じるアニオン。反応中間体

 

図のように求核試薬が付加しマイゼンハイマー錯体が生成。

そしてすぐにハロゲンイオンが脱離して求核置換反応となる。

マイゼンハイマー錯体では芳香族性が失われているために不安定であり、

脱離すると再び安定な芳香族化合物となれるので脱離は速やかに進行する。

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例題

近道は色んな反応を見慣れること

以下の芳香族化合物の反応のうち、主生成物の構造として適切なのはどれか。2つ選べ。

すべての反応は終了後、適切な処理を施してある。

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 解答:4、5

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芳香族化合物の求核置換反応

問題:ブロモベンゼンは、ハロゲンが結合した炭素上でSN2反応を起こすことは難しい。正誤を答えよ。

 

解答:正

 

ベンゼン環炭素(sp²混成)と結合しているBr(脱離基)はsp³混成の炭素の場合よりも炭素ー臭素結合距離が短く、結合エネルギーが大きいため脱離しにくい

 

ハロゲン化アリール(芳香族ハロゲン化物)は電子求引基であるニトロ基などが芳香環上に2個以上置換していないとSN反応は進行しない。