おくすりぽりぽり

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有機ハロゲン化合物(求核置換反応、脱離反応)

SN1、SN2反応、E1 、E2反応メインの、有機ハロゲン化合物の反応についてのまとめノートです。

 

ねず実は大学1年生の時この範囲が本当に苦手でした。

ちんぷんかんぷんな方たちの参考に少しでもなれば。

 

 

必須ポイント

最低限の知識です。

これだけは覚えないと問題解けないかも。

SN1反応、SN2反応まとめ

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E1反応、E2反応まとめ

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アンチ脱離とは?⇒脱離する二つの基が共にアキシアル位(二面角180°)にある時におこる。

<図解>

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補足)脱離する2つの基がともにアキシアル位にある場合E2脱離する。

有機ハロゲン化合物の性質と反応

  • X=ハロゲンとしたとき、C-Xの結合距離はXが周期表の下に行くほど長くなる。

<理由>

C-Xの結合は、炭素のsp³混成軌道とハロゲンのp軌道が重なって生じるσ結合であり、

ハロゲンのp軌道の大きさは、周期表の下(主量子数の大きい)ほど大きいため。

 

 +α

X⁻の脱離能が高いほど求核置換反応の反応性が高い。

ハロアルカン(C-X)からのハロゲン化イオン(X⁻)の脱離基としての能力は、アニオンとしての安定性の順である。

 I⁻>Br⁻>Cl⁻>F⁻

  • ハロアルカンとアルカンの沸点はハロアルカン>アルカン

<理由>

C-X結合の分極によりハロアルカン分子は極性を持ち、分子間ではそれぞれのδ⁺とδ⁻の部分が静電的に引き合う。

この相互作用、双極子ー双極子相互作用がハロアルカンの沸点が対応するアルカンの沸点より高いことの原因である。

 

問題

求核置換反応

問1

CH₂=CHBrは容易に求核置換反応を受ける。正誤を答えよ。

<答え>誤

CH₂=CH-XCH≡CHBーXX(ハロゲン)はSN1、SN2いずれの求核置換反応も起こさない。

CH₂=CH-XCH≡CHBーXの炭素のsp²またはsp混成軌道はsp³混成軌道に比べて核に近いために電子を引き付けており、脱離基(X)がアニオンとして外れにくいためSN反応性が低い。

 

問2

①への求核置換反応は②への求核置換反応の場合よりも容易に進行する。正誤を答えよ。

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<答え>誤

ベンジル位に生じるカチオンは、隣接するベンゼン環のπ電子からの共鳴効果によって安定化されるため、

ベンジル位に脱離基を持つ化合物は、持たない化合物よりも求核置換反応が用意に進む。

Point:ベンジルカチオン(アリルカチオン)はSN1反応を起こす。

 

問3

以下の化合物は第三級ハロゲン化合物であるから、SN1反応で容易に進行する。正誤を答えよ。

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 <答え>誤

SN1反応は平面構造のカルボカチオン中間体を経て進行する。

ビシクロ化合物(ふたつの環を持つ化合物)の橋頭位炭素は平面構造を取ることができないため通常のSN1反応の条件では反応は全く進行しない

また、第三級のためSN2反応も起こらない。

問4

以下の化合物は第一級ハロゲン化合物であるから、SN2反応で容易に進行する。正誤を答えよ。

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 <答え>誤

第一級ハロゲン化合物であるが、脱離基(Br)の後方から求核試薬が攻撃するSN2反応の経路をかさ高いtert-butyl基が妨害するため反応性は著しく低下する。

 

ハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化水素の機構と位置選択性

問1

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<答え>2-methl-2-butene

エトキシドイオン(EtO⁻)は強塩基のため第三級ハロゲン化物はE2反応機構で進む。

この時主生成物として、熱力学的に安定な、Saytzeff則に従った置換基がより多いアルケンである2-methl-2-buteneが生成する

 

問2

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<答え>②

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エトキシドイオン(CH3CH2O⁻)は優れた求核剤であり、そして塩基性がすごく強い

そのためE2反応を起こしやすい。

 

E2反応はアンチ脱離であり、脱離基であるClとアンチになる水素はHAとHBである。

生成物は問題文の①と②の2種類であるが、強塩基として立体的に小さいエトキシドイオンを用いているため、熱力学的に安定なSaytzeff則に従う②が主生成物となる。