おくすりぽりぽり

国試や受験、薬や病気etc...一方的に発信するブログ。

薬剤師1年目の服薬指導、薬歴の勉強ノート

こんにちはねず実 です。

ついに薬剤師3年目に入ってしまいました。

今回は1年目なのに服薬指導や薬歴記載について職場で指導を受けられない人向けの記事です。

1年目に業務をこなすために作成したノートをまとめています。

新人に一切仕事を教えずに責めるだけという人が珍しくない業界なので、本記事が助けになれば嬉しいです。

新人でも教えてもらえないことはザラ

過去記事でも触れていますが、薬剤師1年目の最初の半年くらいは今とは違う職場で働いていました。

過去記事↓

mofumofu-mushi.hateblo.jp

調剤薬局だったのですが、そこの薬局は薬剤師業務についての指導は一切なく、

「大学で実習やってるから教える必要ない」ということで服薬指導も薬歴記載もぶっつけ本番。

「あの言い方は頭悪いよねー」、「あの書き方はありえないでしょ!」と言う割には改善点は一切教えない。

そんなところでした。

 

幼気な真面目ちゃんだったねず実はそりゃもう本読んだりネットで調べたりしながら

「どういう言い方なら相手を不快にさせずにきけるだろう?」

「次投薬する薬剤師のために今回の薬歴は最低限何を記載すべき?」

などなど考えてやってました。

医療職ですから、新人とはいえ人の命に係わる仕事をしているわけなので。

 

結局体を壊しその職場は去ることになりましたが、

その時必死で調べたことが今でも役立っていて、半年での転職でしたが転職先では特にトラブルにはならず働けています。

処方箋受付後に行う患者への声掛け

処方箋を受け付けた後に様々な理由で患者さんを待たせてしまったり、投薬順が変わってしまうことがあります。

患者さんがなぜ待たされないといけないのか疑問に思うこともあるので、そういったとき声がけ内容をまとめました。

疑義照会事項がある

疑義照会は内容によっては結構時間がかかります。

知らずに待たされることで「この時間に用事を済ませられたのに」とお怒りになる方もいます。

疑義照会が必要で少し時間がかかりそうな場合は早めに声かけを行いましょう。

<例>

「処方箋の内容で病院への確認が必要なところがありましたのでお時間頂戴してもよろしいでしょうか?」

「病院への確認が完了しないと調剤ができない内容がありましたのでお時間頂戴します。」

★説明を求められたら疑義の内容を正直に説明する。

投薬の順番が受け付け順と異なる

どういったケースかというと・・・

・疑義照会に時間がかかるため先に別の患者の投薬を行う

・インフルエンザなどにより体調が非常に悪く、すぐに帰宅し安静にしてもらう必要がある

・長期の一包化や軟膏の混合が大量にあるなど非常に時間がかかる調剤内容があり、先に別の人の投薬を行ったほうが業務がスムーズになりそう(完全順番通りじゃないと揉める方もいるので注意)

<例>

「申し訳ありません。順番前後しての案内をさせていただきます。」

「順番変わりますがご了承いただきますようお願いいたします。」

「ご迷惑おかけして申し訳ありません。順番変更させていただきます。」

調剤で時間がかかりそうな人はあらかじめ伝えよう

例えば混合外用剤。

皮膚科の門前なら混合外用剤も予めストックがあるから時間はかからないけど、ストックが無い薬局は一から混ぜて作るしかありません。

けど患者さんはそういう事情を知らないので「門前はすぐ出すのに何でここは遅いの!」と怒られることもしばしば。

予防線を張るのは大事です。

可能なら処方箋を受け付けた時に、一包化なのか粉砕や混合の作業は必要なのか確認し、先に時間がかかることを伝えておきたいですね。

 

<例>

「こちら塗り薬を混ぜて詰めなおすという作業があるためお時間頂戴しますがよろしいでしょうか」

「粉薬が~種類あるためお時間いただきますね」

「一包化するためお時間かかります、ご了承ください」

★待てないタイプの人にとっても、先に伝えてもらうことで別の薬局に行くという選択肢が生まれるのでwin-win。

薬の在庫が無い

薬局あるあるですね。

患者さんからすればたまったもんじゃありませんが、こちらも世の中のあらゆる薬を置いておくわけにいきませんから仕方ない。

<在庫がない時に確認すべきこと>

薬の緊急性:今の体調はどうか。すぐに服用すべき薬か。(例:帯状疱疹で抗ウイルス薬が処方された・・・。薬の手持ちがすでに切れている・・・など。

いつ用意できるか:確実に薬が届くのはいつか。卸や関連店舗あれば他店に確認。

患者宅と薬局の距離:遠距離からの来局だと後日薬を取りに来てもらうのは難しい。場合によっては郵送でもかなり時間を要してしまう。

薬の受け渡し:患者自身予定があり今薬が手に入らないと困るなど。

<確認した後の声かけ>

・薬が届きそう

「O月×日△時ごろにはこちらの薬が入る予定ですがよろしいでしょうか」

「×日には薬が届く予定ですが、時間が不明なため届き次第ご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?」

「お薬×日にならないとご用意できないのですが、お薬の手持ちはまだありますでしょうか?」

・不足薬を郵送する場合

ポスト投函なのか、直接受け取りなのか確認する。

「届くまで×日程度はお時間かかりますがよろしいでしょうか」

「住所、宛名はこちらでよろしいでしょうか(自宅ではなく職場に届けて欲しい人もいるので宛先は必ず確認)」

・薬が届くまで日数かかる、他薬局に直接行った方が早そう

「確認したところ当薬局に薬が届くまでかなり時間がかかります。○○薬局に確認したところ現時点で在庫そろっているようです。どうされますか?」←どうしてもここの薬局が良いとのことで1週間以上時間かかることを了承してくれる人もいる。

・出荷調整などで薬が手に入らない

たまにあります。

<例>

「こちらの薬ですが、諸事情により当薬局には在庫が入らない状況になっているためご用意が難しくなっております。大変申し訳ありません。」

「現在流通に制限がかかっているお薬のためご用意が非常に難しくなっています。当薬局にはいつ入荷されるか不明な状況となっております。申し訳ありません。」

★患者さんによってはすぐ欲しいから類似の他の薬に変更してほしいという方もいます。

患者さんが希望すれば疑義を行います。(処方薬への口出しを嫌う医師も多いので疑義の際は言葉に気をつけよう。)

服薬指導の基本

初回

患者背景の確認

既往歴

合併症

アレルギー歴

副作用歴

嗜好品(タバコやアルコールなど)

他の治療状況(他院他科、併用薬、OTC薬)

今回処方内容の説明

作用(体内でどう働くか)

用法用量

副作用

保管方法(冷所、遮光等)

治療方針(その薬が症状改善にどう役立つのか)

生活面での注意事項

薬の効果でトイレが近くなる、眠気が出やすくなる、控える食材があるなど日常生活に置ける注意事項は小難しくかかれた薬情ではわかりにくい。

薬剤師がわかりやすく伝えよう。

お薬手帳の内容

併用禁忌が別の病院で処方されているなどの事項は手帳見ないと気づけない。

★用法用量の説明では、空腹時投与など食事の影響を考慮する薬がある場合、どの薬が該当するのか強調して説明した方が安全。食後服用で効果減弱してしまう薬を他の食後投与の薬とまとめて飲んでしまい効果がでない、おかしいと再来局する人は珍しくない。

★サプリメントや食材との相互作用について説明する時は、どの薬が該当するのかお薬手帳や薬情を用いて説明すると理解してもらいやすい。言葉だけより目で見てもらう。

二回目以降

服薬状況の確認

薬が不味くて飲めていない。仕事が忙しくて昼の薬だけ飲んでいなかった。

→用法変更や、患者のコンプライアンスに合わせた薬を調べて提案。

または多少効果が落ちても飲みやすい時間いずらして飲み続けてもらう。

副作用の確認

処方薬服用後に表れた新たな症状の訴え。

検査値の変動

処方薬服用による過降圧や肝障害の疑い。

検査値を薬剤師に知られることを嫌がる人も多いので無理に聞かないこと。

やんわりと「検査結果に大きな変化はなかったですかね~?」、「医師から血液検査の結果特に指摘は無かったですかね~?」みたいに言うと聞きやすい。

効果確認

症状は和らいだのか、強まったのか。

検査値は改善傾向にあるのか。

前回の薬歴の申し送りの確認

薬歴を見ていると、前回投薬した薬剤師が「次回△△について確認」とか書いてくれていることがあります。

こういった申し送りは経過確認のために大切なことなので可能であれば確認するようにしましょう。

患者自身が抱く疑問や不安(重要)

一通り説明したら最後に薬剤師に質問が無いか聞こう。

「お薬を飲んでいて気になることやご不安なことはありますでしょうか?」

と聞くと意外と色々教えてくれる人は多い。

このきき方だと急いでいる人は「ない!」というだけで済み、ききたいことがある人も「実はね・・・」と言いやすい。

結構多い相談は「実はテレビでこの薬は危ないって聞いて飲んでないんです・・・本当に飲んでも大丈夫なのでしょうか」といった質問。

 

こういう質問が多いので、そういう方の疑問にしっかりと答えられるように薬に関するゴシップ記事もアンテナ貼って読むようにしている。

「その記事はインチキです」では冷たい。

できれば「この記事の××という記述はこの薬の間違った飲み方の時に起きる現象なので用法を守れば問題ないです。」まで言えたらカッコイイ。

投薬苦手な人に押さえてほしいポイント

会話が苦手でも、仕事上逃れられないのが薬局薬剤師の宿命。

「服薬指導で確認しないといけないことはわかるんだけど、相手によっては話を聞いてくれず早くしろと怒らせてしまう。」

すごく辛いんですがあるあるなんですよね。

投薬が辛い方が少しでも楽になれるよう考えてみました。

最初の声がけ時点での反応を見よう

投薬する時にまず「お待たせしました。では今回のお薬について説明させていただきます。」と声がけしてみて

話を聞いてくれそうな反応があればちょこちょこ質問しながら説明しましょう。

 

話聞いてくれそうな人↓

笑顔で挨拶してくれる。投薬時に「はい、お願いします」、「ありがとう」、「ご苦労様」などこちらに声をかけてくれる人。

不安そうな人も、薬を飲む上で悩みや疑問点を持っていたりするので服薬指導を積極的にした方が良いケースですね。

 

話聞いてくれなさそうな人↓

一切無言な人やあいさつした時点で舌打ちや睨むといった行為をする人。

説明が長引くほど怒りやクレームに繋がるので、症状の経過については「体調変わりないですか?」程度の質問にとどめて様子を見ましょう。

一切説明せずに渡してしまうと、後から「希望していた薬が無い」とか「残薬あるからこの薬は要らなかった」とか怒られることがあるので処方内容については最低限確認必須。

 

<話聞かない人の投薬>

★処方内容Doの時→薬を並べてみせながら「前回とお薬の内容は変更ありませんがよろしいでしょうか」と確認する。

★処方変更ある時→「○○が中止(または追加)となっていますが医師からお話伺ってますでしょうか」というように変更があることを簡潔に伝える。

「申し訳ありません、変更点だけ簡潔に説明させてください」と最低限伝えないといけないことだけ言う。

説明拒否されたら、説明を聞いてもらえなかったことと状況を必ず薬歴に記載する。

後になって「自分は説明欲しかったのに、あの薬剤師は説明もせず無理やり会計してきた!飲み方間違えたのは薬剤師のせいです!」と言われ医師経由でお叱りを受けたことあります。

そういう時に薬歴が役に立ちます。

副作用説明のポイント

薬を飲む人にとって副作用はとても怖い存在です。

医療関係者からすると「次第に収まる症状だから大したことないよ」と軽いものでも、患者さんにとっては薬の中止を検討してしまうくらい怖かったりするのです。

この項目では副作用説明で注意すること、確認した方が良いことをまとめています。

副作用説明の3ポイント

①わかりやすい言葉に置き換えて伝える

(例:腎障害疑う症状あれば相談を。→むくみやおしっこの量が少ない状態が続くなどいつもと違う症状があれば相談を。

(例:出血傾向→歯ぐきからの出血や痣ができやすい、血が止まりにくい

②副作用が起こるであろう期間、頻度を伝える

・服用開始後すぐに起こる可能性のある副作用(アナフィラキシーなど)

・長期服用により起こる可能性のある副作用

・頻度の高い副作用(抗アレルギー薬による眠気など)

・頻度は低いが重大な副作用の初期症状(横紋筋融解症など)

全部説明すると患者さんも混乱してしまうので、これらの項目から内容を選んで「こういった症状があれば相談してくださいね」くらい伝えておく。

プロトピックの使い始めで起こる皮膚刺激感のように、使い続けることで副作用が徐々におさまる薬もあるので患者さんがびっくりしないよう説明する。(症状強いようなら無理せず相談するよう言葉も添えると患者さんは安心する。)

 

③患者によって表現を変える

これは非常に大事。

神経質な方だったりすると、副作用の症状の伝え方によっては「そんな恐ろしいことが起こるなら飲みません!」となるので言葉選びが重要です。

場合によっては「この症状が起こるのは0.1%未満です。」みたいにデータで示すと良い。

症状の関係で、副作用経験者に同じ薬が再度処方されることもあります。そう言う時はなるべく正確に副作用の初期症状を説明をしましょう。

また苦しい思いをするのは嫌ですからね。

副作用起きても飲み続けるケース

医師によっては副作用について予め説明してくれている場合もあります。

副作用出やすい薬などは、可能であれば副作用に対する医師の考えを確認しましょう。

(例:「医師から××という症状が出た場合どうするか指示は受けていますか?」など。

薬歴は簡潔に

投薬中はメモを取ろう

「薬歴はわかりやすく簡潔に書こう!」どこでも言われますがこれがかなり難しい。

患者さんによっては症状をすごくややこしくそして長く話す人もいる。

10人とか連続で投薬してるともう誰が誰だか分からなくなってくる。

慣れるまで大変だとは思うがメモは必須。

症状や検査値の変化について教えてくれたら忘れずメモを取ろう。

血圧↓アップ、吐き気↓(改善)みたいに簡潔で良いので。

メモ取りですが、間違えて処方箋にボールペンで書いたことのあるねず実から言わせてもらうと、どこに書いちゃってもいいように必ずシャーペンまたは鉛筆を持ち歩きましょう。特に鉛筆は綺麗に消せるので便利です。

薬歴で最低限書いていること

先に書いたように薬歴は一人一人全然書き方が違います。

今から書くのはあくまでもねず実の場合なので参考程度に。

<SOAP形式>

S)患者又は代理人が言ったこと。

O)投薬した相手。本人、家族、患者の世話をしているヘルパーさんなど。

  検査値。(ねず実が使ってる電子薬歴は検査値記載欄が別にあるので実際ここには

記載してない。)

A)患者の今の状態、前回からの経過を評価。処方変更なく、体調が変わりなくても症状が安定している、または症状改善なく続いていることなど書いている。

変わりないことも大事な情報。

P)次回確認すること。特になれけば経過確認。

薬歴ってどう書くの?役立った本

薬歴の記載って本当に人それぞれ。毎回全く同じ文章をコピペのように使う人もいます。

でも薬歴を毎回ちゃんと書くことで処方変更のミスに気づき易くなったりするんです。

(例:「この人の今までの経過に対してこの処方変更内容は違和感がある!」など

 

大学でSOAPについては学習するものの、実際の患者さんは教科書のように薬剤師の質問に答えてはくれません。

1年目で困っていたねず実の救世主となった本がこちら!

山本雄一郎先生の「誰も教えてくれなかった実践薬歴」


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マイバイブル

 めちゃくちゃざっくりいうとPOS(問題志向システム)を用いてSOAPの書き方を考察していくという本です。

ねず実はこの本を読んで、薬歴は1話完結ではなく、薬歴がつながって一人の患者の経過を形作っていくという考え方を得られるようになりました。

 

薬歴の書き方だけでなく、服薬指導のポイントや一部の薬物治療のリスク、確認事項なども書かれており薬剤師業務において個人的バイブルにしている。

知識は身を助ける

ねず実は1年目の時とにかく必死でした。

色んな本を読んで、時にはネットを使い、オンラインの講義を申し込んで勉強したり。

「薬剤師は処方箋通りに薬を渡してるだけ」言う人はたくさんいますが、実際そんな風に仕事をしてしまったら医療事故だらけです。

「自分の知識不足で事故になるかも」、そんな恐怖心からの頑張りでした。

 

薬剤師という仕事に誇りが持てず、「たくさん勉強してみんなの役に立つんだ!」という前向きな気持ちでは頑張れない人も少なくないと思います。

でも医療業界に身を置いている限りは、何事もなく毎日を過ごすために知識が必須なのです。

 

この記事が皆さんが何事もなく日々を過ごすための助けとなれば幸いです。

職場によっては先輩に聴きづらいこともあると思います。

もしあなたが薬剤師業務について右も左もわからない状態なのに職場で孤立しているのなら、今はSNSも盛んですからtwitterなどで思い切って質問してみるのもいいかもしれませんね。

 

もちろんねず実も歓迎ですよ🐀

まだ気持ちはペーペーですけどね。

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